キーンという音が峡谷に響き渡る
日本海軍局地戦闘機雷電J2M3、対爆撃機用戦闘機最強の機体だ
上昇力、加速性能は日本軍戦闘機最速と言われた
雷電J2M3の三菱製火星23型は過給機装備で第1速作動で1700馬力にもなる
今では過給機メーカーとしても有名な三菱だが排気タービン開発に成功したのは昭和17年になる
開発理由はアメリカの超大型爆撃機を迎撃するための高高度迎撃戦闘機の開発命令が下ったからだ
高高度になると空気が薄くなりエンジンに送れる酸素の量が減りパワーが出ない
そこで余分な空気を送り込む過給機を搭載する事になり排気ガスにて過給機を駆動する排気タービンの開発が急がれた
メーカーは三菱、日立、石川島の3社になる
開発はなかなか進まずB29の来襲に間に合わなかった
充填効率を上げるため高圧縮の高温ガスを冷やすインタークーラーとターボ化にするための艤装に遅れが生じていた
雷電には設計当初ターボ化の計画が無かったためあとずけは困難だったのだろう
パイピングに使用する耐熱金属も無く戦況悪化で開発は進まず排気タービン装備の雷電J2M4は活躍はほとんど無かった
エンジンから動力を得て過給する機械式過給機付きエンジン火星23型がストーリー中に出てくる雷電の動力だろう
自動車で言うところのターボではなくスーパーチャージャーになる
過給機を使用して加速するシーンは圧巻だ
キーンと言う金属音が加速感を盛り上げておりイニシャルDのような自動車アニメに似ていなくも無いが過給機で加速する日本軍飛行機を映像で見る機会があるとは嬉しい限りだ
ただしアニメ製作者は火星23型エンジンの前にある増速強冷ファンの音を表現したそうだ
このファンがたてる音はサイレンのような音だったという
空冷エンジン搭載なのに流線形の太い胴体は迫力がありとてもカッコイイ
高速化を図ろうとすると液冷エンジンのほうが良かっただろうがまだ発展途上で大型機用に使われていたデカイ直径の火星エンジンが選ばれた
そのまま積んでも機首は空気抵抗がでかくなるのでプロペラ軸を延長して機首を絞った形にしてる
これが雷電のずんぐりしたシルエットを生んでいる
でかい機体にでかい過給エンジンでぶっ飛んでいくのだから迫力がない訳がない
重戦闘機なのだから機動性よりスピードを活かしての一撃離脱が得意な機体と言われたし、たしかに操縦席の視界は悪く後方は見えないが20mm機関砲4挺の重武装で重戦闘機同士の空戦では性能は低くなかった
そのへんも映像で表現されていて敵の乗る彗星を相手に空戦を繰り広げていたシーンは機動性の良さをうかがわせていた
雷電、インターセプター、迎撃機、敵は攻めて来るものだと考えもしなかった日本軍の出遅れた機種
破竹の勢いで勝ちまくっていたために開発が遅れてしまったかわいそうな機体だ
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